児玉株式会社

スマートセンサ型枠システムとは

開発の背景

●若材齢コンクリートの品質担保の必要性
コンクリート構造物に求められる品質性能がますます高まリつつある中、若材齢コンクリートの品質管理は、長期耐久性能にかかわる極めて重要な要因です。しかし、現実は、構造体の立地環境、用途、施工者の取組み方の違いから徹底した若材齢コンクリートの品質管理は難しく、現場の状況判断に大きく依存しています。

●型枠材料の資源循環・廃棄物抑制の必要性
現在、コンクリート工事に使用される型枠は、南洋材を原料とするコンパネがほとんどを占めており、これらは数回の使用ですぐに廃棄されてしまうため,産業廃棄物の増大、森林破壊を招く結果となっています。

●専門職不足による合理化施工の必要性
バブルの崩壊、リーマンショックなど景気が悪化していく中、建設業従事者数は廃業や転職など年々減少していきました。
しかし、震災復興や政権交代により、急激な建設特需の状況となった現在、建設業の人手不足が深刻な問題となっています。
今後もオリンピックなど、建設需要が今にも増して増大することが予想され、合理的かつ効果的な施工方法が早急に求められています。

スマートセンサ型枠システムは、多機能高性能センサを搭載し、
高度な品質管理と環境負荷低減を同時に実現します。

システム概要

多機能センサを埋め込んだ高機能型枠

  • コンクリートの表面温度と外気温度を記録
  • 打設開始時期・脱型時期を記録

専用SSリーダでデータ読取り

  • 離れた所から無線でデータ収集
  • 収集データから推定強度を自動計算
  • コンクリート表面温度や推定強度を現場で把握

転用回数アップ

  • 転用回数を自動カウント
  • 型枠の設置状態を記録
  • CO2削減量を自動計算
コンクリート直接接触計測方式
スマートセンサからのデータ読取イメージ

使用例

メタル型枠、樹脂型枠のどちらでも使用可能です。

  • ダム:防潮堤
    建築現場
  • 高架橋
    高架橋
  • トンネル(セントル)
    トンネル(セントル)
  • 港湾
    港湾

コンクリート表面強度の推定とカラーマッピング

コンクリート表面の正確な温度計測、養生期間の時間計測によって、これまで経験に頼っていたコンクリートの品質管理、特に、正確な脱型時期の判断、温度管理が実現可能です。このことはコンクリート構造物の長期耐久性能向上に寄与するほか、耐用回数が多い樹脂及びメタル型枠を利用することで、資源の有効利用と省エネにも貢献することができます。

躯 体 強 度 の 推 定 方 法


構造体の温度履歴による強度管理への移行

強度の推定

コンクリート表面温度の積算温度・有効材齢による推定強度発現などを現場でリアルタイムに把握できると共に、個体データを第三者機関による一元管理・保有もできるため、結果を証明書として発行することも可能です。

強度の推定
                       

型枠配置実施例

収集したコンクリート表面温度データから積算温度、有効材齢 による推定発現強度などを現場でリアルタイムに把握できると共に、 これらの強度情報を型枠配置図に割付ける(下図)ことでコンクリート表面の強度分布を可視化できます。 どの部位の強度が不足しているか或いは必要強度に達しているかなど、即座に判断することが可能です。 データを第3者機関による一元管理・情報の共有もできるため、結果を証明書として発行することも可能です。
カラーマッピング

開発者の一言

野口 貴文
東京大学 大学院工学系研究科
建築学専攻
教授 野口 貴文
平成22年2月のことでした。建材商社の児玉(株)と出会い、型枠によるコンクリート品質管理の高度化プロジェクトをスタートさせたのは。 その夏、システム開発企業が加わり、開発はトントン拍子に進み、わずか1年でスマートセンサ型枠システム第1号の完成にこぎ着けました。 これは、参加者の情熱の賜であり、フットワークの軽さも幸いしました。コンクリート構造物に対する信頼を取り戻し、建設業を魅力的な産業へと変革するためには、コンクリート工事は透明性が確保されたものであり、生産システムは合理的でスマートなものでなければなりません。
スマートセンサ型枠システムは、その一躍を担うものと確信しています。さらに、何回でも転用可能で再生可能な樹脂型枠やメタル型枠と組み合わせることで資源循環にも配慮しました。これこそ、まさに次世代の標準型枠ではないでしょうか。

推薦者の一言

宮川 豊章
京都大学 大学院工学研究科
社会基盤学専攻
教授 宮川 豊章
近年のICやICタグに代表されるLSIの技術展開には目まぐるしいものがあり、タブレットPCの耐衝撃性の向上などもここ直近の技術躍進です。建設業界においては、従来は供試体によるコンクリートの品質管理システムが構築されてきましたが、近年各用途別に適合した高性能・高機能な管理が望まれてきていました。
今回提案されている、型枠という汎用品に上述の最新電子技術システムを組合せてコンクリート品質管理の高度化・精緻化を可能にしたこの『スマートセンサ型枠システム』は、今後のコンクリート品質管理の方向性を示唆するものとしてきわめて高い評価を得られるものと思っています。本プロジェクトには、これからも良質のコンクリート構造物を後世に残すため、スマートセンサ型枠システムの更なる高機能化・多機能化を推し進められる事を切に希望するものです。
国土交通省NETIS登録済み登録番号QS-110040-VE